英語原文からの翻訳です。訂正歓迎します。
〆(しめ)――日本の夜を締めくくる最後の一皿と、ごはんが最後に来る理由
ガスコンロにかけた鍋は、もうほとんどすべてを出し尽くしている。博多駅近くのもつ鍋店。牛もつとキャベツ、ニラが消えたあとに残るのは、数センチほどの白濁したスープだ。味噌なら甘く、醤油ならきりりと鋭い。店員はそれを、大工が端材を見るような目で眺める。そして続く問い――ごはんにしますか、麺にしますか。終わったと思っていた夜に、まだもう一品残っていることを告げる合図だ。
メニューの最後にある一文字
多くの居酒屋のメニューでは、終わり近くにひとつの文字が置かれている。〆(しめ)。「締める」から来た言葉で、結ぶ、引き締めるという意味をもち、会合や祭りを手拍子でお開きにするときにも使われる動詞だ。その下に並ぶのは、最後に食べるための料理。塩鮭や梅干し、海苔をのせたごはんに緑茶やだしを注ぐお茶漬け。醤油を塗り、表面がぱりっとするまで焼き上げた焼きおにぎり。ときには小ぶりのラーメンや冷たいうどんも。この欄を「お食事」と題する店もある。
ごはんを何にでも添えて食べてきた旅行者には、この順序が意外に映る。居酒屋では、ごはんは句点なのだ。最初の数時間はビールと日本酒、そして小皿――枝豆、唐揚げ、刺身、串を何本か――で進む。それらと一緒に白ごはんを頼むと、厨房には、スープと同時にデザートを注文されたような、少しちぐはぐな印象を与える。断られることはまずないが、〆の料理は、すでにひと通り食べ終えた人に合わせた量になっている。
鍋がそのまま食事になるとき
いちばんわかりやすい〆は、鍋の中にある。鍋も終盤になると、スープにはそこを通り過ぎたすべてのもの――もつの脂、キャベツの甘み――が溶け込んでいて、捨ててしまえばいちばんおいしい部分を無駄にすることになる。博多での定番は、炊いたごはんをスープで煮て、溶き卵とねぎ、海苔で仕上げる雑炊か、太くてもちもちとしたちゃんぽん麺。残ったスープをすっかり吸い込んでくれる。
〆は雑炊と麺、どちらになさいますか。
このひと言――「〆は雑炊と麺、どちらになさいますか」――は、いちばん耳にする機会の多いフレーズだ。メニューの文字を指さすだけでも、答えとしてはまったく問題ない。店によっては店員がおたまを取ってごはんを入れ、卵が固まるまでかき混ぜないよう声をかけてくれる。卓上のカードに作り方を示し、客に任せる店もある。手を伸ばす前に、少し様子を見てみよう。
夜の終わりのラーメン
言葉は知らなくとも、多くの旅行者がすでに出会っている〆が、飲んだあとのラーメンだ。札幌では、それに住所まである。すすきのにある元祖さっぽろラーメン横丁。小さなカウンター店が並ぶ屋根付きの細い路地で、南北線すすきの駅から歩いてすぐだ。丼はこの街の名物である味噌が中心で、もやしと炒め野菜がたっぷりとのり、バターやコーンをトッピングできる。夜も更けると、行列に並ぶのはたいてい、バーを出たばかりの人たちだ。
ほかの土地では、半分サイズの一杯を探してみよう。〆のメニューに小さなラーメンを置く居酒屋もある。「ミニ」や「半」と書かれているのは、麺で締めたいという気持ちはよくあっても、一杯まるごと平らげる余力はそうそう残っていないからだ。
パフェ、ステーキ、冷たい麺
この発想を思いがけない方向へ広げた地域もある。すすきのでは、北海道の乳製品を土台に、ソフトクリームとフルーツ、ゼリー、クランブルを背の高いグラスに重ねた「シメパフェ」が、夜の締めくくり方としてすっかり定着した。夜に開くデザートバーで出され、店内はひっそりと静か。バーというより、夜更けの喫茶店に近い。
沖縄の那覇では、〆がスープとサラダ付きのステーキになることもある。島の戦後のステーキハウスに根ざした習慣で、その看板はいまも国際通りに並んでいる。盛岡では焼肉の席で登場する。透きとおったコシの強い麺を冷たい牛だしのスープに浮かべ、キムチと季節の果物をひと切れ添えた盛岡冷麺。焼き終えたところで注文するものだ。
京都には、ちょっとした教訓話がある。ぶぶ漬けはお茶漬けを指す土地の言葉で、長居する客にこれを勧める主人は、実は帰ってほしいと伝えているのだ――という話が繰り返し語られてきた。もっとも、これは実際の作法というより、京都人の遠回しな物言いをからかう冗談として語られることが多く、市内のお茶漬け専門店は何の含みもなくこの料理を出してくれる。それでもこの話が生き残っているのは、ひとつだけ正しいことを言っているからだ。最後の一皿は、夜の終わりの境目を示している。
厨房が閉まる前に注文する
実際に難しいのは、〆は厨房がまだ火を使っているうちに頼まなければならない点だ。多くの居酒屋では、飲み物の提供を終える前に料理のラストオーダー(メニューにはよくL.O.と書かれている)を迎え、店員がほかに注文はないかと聞きに来ることもある。そのときこそ、もう一杯ではなくお茶漬けを頼む瞬間だ。「〆に…お願いします」と、間に料理名を入れれば、明快で丁寧な頼み方になる。
グループなら、〆の一品をみんなで分けることが多い。雑炊ひと鍋を小さな椀に取り分けたり、おにぎり二個を半分に切ったり。ひとりひとつ頼む必要はない。鍋の店では、スープの量に気を配ろう。話に夢中になっているうちに煮詰まって照りだけになってしまうと、店員にも手の施しようがない。量が少なく見えたら声をかけてみよう。多くの店でだしを足してくれる。
行き方と、上手に楽しむために
博多のもつ鍋店は、博多駅周辺と中洲・天神エリアに集まっている。福岡市地下鉄空港線の中洲川端駅で降りれば、そのちょうど間に出られる。札幌では、ラーメン横丁にもパフェの店にも、すすきの駅が起点になる。那覇では、モノレールのゆいレールが国際通り近くの牧志駅に停まり、盛岡は東北新幹線の停車駅だ。
鍋は寒い季節に向いており、季節ごとにメニューを替える鍋専門店もあるので、晩秋から早春が自然な旬といえる。パフェの店や夜遅くまで開くラーメン店は、営業時間も定休日も店ごとに異なる。出かける直前に、各店のウェブサイトやSNSアカウントを確認しておきたい。〆は会計で別の品目になっているのが普通なので、メニューをよく見るか、値段を尋ねておこう。福岡、札幌、那覇の観光サイトは、候補を絞り込む手始めとしてちょうどいい。
避けたい失敗は、夜の始まりに起こる。早い時間にごはんを頼んだり、鍋が来る前に唐揚げでおなかを満たしてしまったりすると、食事全体がそこへ向かって組み立てられてきた一品の入る余地がなくなる。最初は軽めに、そして時計にも少しだけ目を配っておこう。
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